2023年9月28日木曜日

Jeep JK Dana 30 Front Axle Swap Project フロントアクスルの交換

BC州Whistler近くのかなりラフな岩場を走行中、50cmほどの深い溝に助席側のタイヤを強く当ててしまい、この結果、フロントアクスル (Dana 30) のハウジング部分を曲げてしまった。そしてその後、まさかアクスルが曲がっているとは知らず、家に帰る途中の高速走行の負荷によって、コントロールアームがアクスルに溶接されたブラケットが完全に折れ曲がってしまった。1ヶ月以上、保険屋やクルマ屋とのストレスフルなやり取りに痺れを切らし、自力で1から直すことを決意。以下はその記録。これまでの修理の中で最も長い工数と時間をかけたプロジェクトとなった。

折れたコントロールアームの溶接部分
ハウジングが曲がってコイルが湾曲している

Day 0 - 9/11/2023

Facebookマーケットで掘り出し物の中古アクスルを見つけ、オーナーの家に夜、Dana 30アクスルを早速取りに行くことになった。VacouverからLangleyまで高速に乗って往復2時間ほど。早速現物を見せてもらう。ギア比4.88にさらにAussie製のlunchbox lockerがついている。なんと$400で取引成立。ありえない価格だ。。新品でギアの入ったアクスルを買おうとすると、$6,000以上は確実にする。本当にラッキーだ。2010年のモデルなのでそれなりに使い込まれているが、固着したサビを落とせばきれいになるだろう。オーナーは40インチのタイヤを履くためにより頑丈なJ8アクスルに交換したため、不要になったとのこと。いいジープオーナーだった。レンタカーに乗せて家まで帰る。重い!ちなみにこのアクスル、70か80キロ近くあり腰がおかしくなりそうだ。家に帰って中のディファレンシャルギアの状態を確認。金属片などもなく、全く問題なさそうだ。さてプロジェクト開始。

新しいデフの確認中


Day 1 - 9/12/2023

80キロのアクスルをなんとかジャックに乗せて作業開始。固着した砂、泥、サビをグラインダーと金属のワイヤーブラシで徹底的にとっていく。ものすごい量のサビが取れる。

Day 2 - 9/13/2023

引き続き錆取り作業。サビはほとんど取れた。

Day 3 - 9/14/2023

新しいアクスルには古いボールジョイントがついたままになっていた。正確には、前のオーナーは完全に固着したジョイントを外せず、無理やりボルトを切断し、ステアリングナックルを取り外していた。ボールジョイント用の専用工具で抜こうとするがびくともしない。長さ60cmくらいの大きなレンチを使ってもびくともしない。トルクが足りないか?Youtubeで何度も動画を見ては試すが、うまくいかない。潤滑スプレーをかけても全く効果なし。数時間粘ったところで、気が折れそうになる。これが外せないと次の段階には進めない・・・。気を取り直して、大きなハンマーとプロパンのバーナーをamazonで追加で購入。明日に持ち越し。

Day 4 - 9/15/2023

ボールジョイントの取り外し再挑戦。特殊工具をセットしたあと、限界までトルクを掛けて締める。そしてハンマーでアクスルのinner axle Cをとにかく叩きまくる。叩いては少し締めるを何度か繰り返すと遂にボールジョイント (Upper Ball Joint)が取れた。達成感がすごい。そのまま、残りの3箇所も同じような要領で外すことに成功。これは初めての交換だったからか?一つが外れるまで特殊工具の使い方が合っているのかさえ自信がなく、難しかった。ジョイントの接合部分のサビを徹底的に落とす。錆転換剤のキット (POR-15)で赤錆を転換してアクスルを水洗いし、乾かしてから黒の塗料でペイント。仕上がりはまずまずだ。新品のアクスルのようだ。秋晴れが続き作業が進んだ。

サビを取り除き綺麗になったアクスル

Day 5 - 9/16/2023

デフのカバーをきれいに磨き、赤色にペイント。下回りは黒なので差し色が映える。新しいアクスルは、前のオーナーが使っていた左右のアクスルシャフトもついてきたが、ジョイント部分にガタが来ており、内部のグリスはほとんどなくなっていそうだった。これはいい機会だと考え、予備的なメンテナンスも含めてユニバーサルジョイント (U-Joint)の交換を行うことにした。ところがこのシャフトは比較的柔らかい金属でできており、ジョイントを外すときにハンマーを何度も当ててしまい(固着していた)、その結果、シャフトの耳の部分を曲げてしまった・・・初心者のミスだ。また、新しいSpicer製のUジョイントのサイズが0.5mmほど大きく、ハンマーで叩かないと入らないことも原因だった。これは結局、違うブランドMoogのUジョイントを買うことで解決した。


新品のようなアクスルになった

Day 6 - 9/17/2023

新品のボールジョイントが届いたので、外したときと逆の方法で4つを取り付けていく。金属の穴に金属のジョイントを相当な力をかけてプレスしないといけない。この作業も簡単ではなかった。途中、何度か動画を見直し、やり方が正しいのかを確認しつつ、進めた。4時間くらいはかかってしまったと思う。しかしボールジョイントの交換は二度とやりたくないないなあ。本当にうんざりだ。次回必要ならクルマ屋に頼むかな。こうして1週間かけて、新しいアクスルの下準備が完全に整った。

やっとの思いで入ったボールジョイント

Day 7 - 9/20/2023

ついにジープ側の作業開始!通常はアクスルにジャックを固定するが、今回はアクスル全体を外すので、左右のフレーム側にジャックを固定して、フロントのタイヤを外す。ここから、とにかくフロントアクスルにつながるすべてのパーツ類を外して行く作業だ。スキッドプレート、フロントドライブシャフト、タイロッド、ドラッグリンク、トラックバー、スウェイバーリンク、ステアリングスタビライザー、そしてブレーキローターとキャリパーを外す。アクスルは、この段階で、上下のコントロールアームのみで、クルマのフレームと繋がっている状態。作業を特に問題なく進んだ。

色々なパーツを外していく

Day 8 - 9/21/2023

ブレーキが外れたので、次はホイールハブアッセンブリ (ハブとベアリングが一体化したパーツ)をアクスルシャフトから外そうとするが、完全に固着して動かない。潤滑スプレーをかけまくり、ハンマーでハブ部分を叩きまくる。そうすると数ミリの隙間が開いてきた。この隙間に潤滑スプレーを更にかけて、少しずつ外していくと最終的にアッセンブリを外すことに成功。ナックルとの接合部分の固着が激しく、フォーラムを読み漁っていると、交換した方がよいとのことなので、左右とも新品のパーツを発注。新しいスピードセンサーもついてくるもの。このホイールハブは、20万キロも動いたので十分な役目を果たしただろう。その後、左右のステアリングナックルを外し、アクスルシャフトを無事に抜き出すこともできた。助席側のシャフトは少し抜きづらかったが、これはアクスルハウジングが確実に曲がっていることの左証だろう。左右どちらのスプラインも欠けたりはしていなかった。

Day 9 - 9/23/2023

前日は雨がひどく作業できず。この日も夕飯を食べたあとからすぐに作業開始。ショックアブソーバーを外し、左右のコイルスプリングを外す。フロアージャッキを噛ませた後、前にアクスルを動かすことで、抜き出すことができた。そして、遂に古い曲がったアクスルを取り出すことに成功。


壊れたアクスルが姿をあらわした

曲がって変形したアクスルが摘出されたとこ古いアクスルからバンプストップの延長ブラケットとトラックバーのブラケットを外し、新しいアクスルに取り付ける。トラックバーのブラケットにあるボルトの一つがどうしてもはまらないので、新しいアクスルにドリルで穴を開けて加工し対応。そして、新しいアクスルを運び込み、少しずつフロアージャッキで位置を調整し、アッパーコントロールアームをまず固定し、そのあと新しく買ったロワーも固定する。これでクルマとアクスルが仮止めされた。このあとに、タイロッド、ドラッグリンク、スウェイバーリンクを新しいアクスルに仮止めした。ショックはスプリングコンプレッサーを使い圧縮したあとにインストール。ここまで来ると完成にかなり近づいてきた実感がある。日付が変わる頃に作業終了。

新しいアクスルがインストールされたところ

Day 10 - 9/24/2023

ボールジョイントおよびコントロールアームにグリスを注入。ブレーキパッドやキャリパー、ローターなどの砂やホコリなどをブラシできれいに掃除。スピードセンサーをホイールハブアッセンブリから外す。センサーがエンジンベイの手の非常に届きにくいところにあり、手こずる。結局、フェンダーを外すことで作業がしやすくなった。途中で雨が降ってきたが気合で作業を続行。ついでいつぞやの牛糞がたくさんこびりついたフェンダーをきれいに掃除。さて、前回失敗してしまったユニバーサルジョイントの交換に違うブランドのパーツで再チャレンジ。いとも簡単にできてしまった。一安心だ。これで安心してアクスルシャフトを新しいデフに入れられた。ホイールハブアッセンブリを更に取り付け、ブレーキパッドにグリスを塗り、ブレーキをすべて取り付ける。ハブやキャリパー、アクスルナットをトルク締め。ジャッキで車体を更に持ち上げ、タイヤを取り付ける。一旦バッテリーを外し、トラクションコントロール関係のエラーをリセットする。ジープが元通りになってきたぞ。ブレーキクリーナーで、デフの中をきれいにし、表面を改めて磨き、ガスケットシールを塗ってカバーはめる。新しいデフオイルを注入。ジャッキをおろし、そしてテスト走行だ!

ついにプロジェクトは完了へ・・・

家の周りを恐る恐る走ってみる。約一ヶ月ぶりのジープの運転だ。走るぞ・・・。大通りに出て、50-60km/hくらいで走ってみる。ステアリングはかなり硬く、すぐにセンターに戻ってこないが問題なく運転できる。またステアリングが少し不安定だが危険なほどではない。ボールジョイントが新品なので、慣らしが必要だろう。そのまま20キロくらいテスト走行し家に戻る。雨の中の作業を終え、日付は変わっていた。

プロジェクトのまとめ

日を追うごとにステアリングは少しずつ安定しており、90km/hでの高速走行もできるようになった。ただ、アライメント後日クルマ屋でしてもらおうかと思う。さて、今回のアクスル交換にかかったパーツ代は以下の通り。

  • Dana 30 Complete Front Axle Assembly (4.88 gear ratio) x1: $400
  • Moog 371 Axle Universal Joint x2: $78
  • Ball Joint Set x1: $53
  • Rubicon Express Adjustable Front Lower Control Arms x1: $236
  • TeraFlex 9550 VSS Shock Absorbers (3-4 lifted) x4: $306
  • Moog Wheel Hub Assembly x2: $295

アクスルの交換について、当初、クルマ屋が出した見積もりはなんと$7,900だった。しかもこの見積もりには、Uジョイントやホイールハブアッセンブリの交換費用などは含まれておらず、おそらく$9,000 (100万円以上?)は覚悟しないといけなかっただろう。これほどの大改造・大修理を工賃タダで、更に破格でアクスルを譲ってもらうことができて本当にラッキーだったとしか言いようがない。下準備に1週間、実際の取り付けに1週間ほどを要した。冬の雨季が本格的に始まる前に終えられてほんとうに良かった。工数がとても多く、初めての作業ばかりだったために、経験のある人ならもっと早く終えることができただろう。

北米では、Dana30からRubicon Dana 44またはFord Dana 60へのアップグレードはよく聞くアップグレードだ。できればより頑丈なDana 44にアップグレードできればよかったが叶わなかった。また溶接や構造的な弱点を補強するためにトラスをつけてアクスルを強化するパーツ (Axle Truss Kits)もあるが溶接が必要なので、今の環境では難しい。いつか挑戦したい。また、ディファレンシャルギアはフロント4:88になったが、リアは3.73のため、このままでは四駆走行ができない。四駆として使うためには、リングギアとピニオンギアを4.88へと変更する必要がある。素人にはとてもできないので、専門ショップで頼もうと思う。

プロジェクトを終えることで、ソリッドアクスルを採用する四駆の構造への理解が非常に深まり、時間をかければ自分で全て直せるだろうという自信にも繋がった。今後の大きな糧となるだろう。

2023年8月9日水曜日

Camping trip to Merritt (その2)

5:40 am 新しいテントの匂いになれない犬が何度も寝ては動き回り、明け方に起こされた。ルーフトップテントの寝心地は最高だった。ふかふかのマットレスと寝袋のおかげか、背中も痛くないし、キングサイズくらいの広さがある。大人2人と犬が寝るのには十分だ。テントの外側はかなり結露している。少し通気しておいたほうがいいかな。

8:30 am 朝日が差し込んできた。昨晩の到着は深夜だったので、ここで初めて自分たちがアカマツに囲まれた森で寝ていたことを知る。美しい森だ。気温は15度くらい。お湯を沸かし、インスタントコーヒーを淹れ、バナナを食べ簡単な朝食にする。

はしごから降りれず心配そうに見つめている
10:05 am 最初の目的地 Bluey Lakeへ向かう。30分くらいトレイルを走り到着。先客が何グループかいた。そう3連休の初日の朝。ピックアップトラックに小型の船を載せて釣りを楽しむ夫婦がいる。Bluey Lakeは特別な湖の一つ。水が透明なエメラルドグリーンなのだ。東南アジアのリゾート地にある海のよう。透き通った透明度の高い水質に加え、水深が数メートルと浅く、そして地底が白い砂地で覆われているからだろう。クルマから降りてこの湖の色を見たとき、ああ遥々きてよかったなと思った。
Bluey Lake

小腹がすいたのでさくっと昼ごはんを作る。カレーラーメンとスパイシーフムスを人参につけて食べる。うまい。フムスは、ひよこ豆をペーストにした中東で食べられる付け合せの一つ。こっちのスーパーでは様々な味がついたフムスが売られている。

1:57 pm 給油などをするためにMerrittのダウンタウンまで戻ることに。トレイルを降り、Highway 97Cに合流。所要時間は1時間くらい。

3:14 pm 給油とペットショップで壊れてしまった犬のハーネスを買い直す。助かった。ふたたびHwy 97Cに乗りKane Valley Rdまで。ここからはダート。山というより下草の生えた広大な丘が広がるエリアだ。ここをゆっくりとクルマを走らせ景色を楽しむのが贅沢だ。少しすると放牧された牛が姿を表す。道で寝ている牛たちにゆっくりと近づき、道を開けてもらう。ここの牛はとにかく自由だ。草を食べ、自由に山を移動して寝ている。山はアカマツと白樺が交互に生えている。

美しいダートがどこまでも続く

3:59 pm Englishman Lakeに着く。標高は1,091 m。湖の手前がきれいな下草が生えているので、ここで一旦休憩することにしよう。Platform 7で買ったエチオピア産の豆を挽き、コーヒーを淹れる。小腹が空いたので、Johnsonvilleのソーセージも焼いてしまった。まずフライパンで水を沸騰させソーセージを水がなくなるまで茹でる。そして弱火で焼く。これがうまいのだ。湖の湖岸は少し泥がたまり葦が生えている。Lower mainlandでは見ない植生だ。 

休憩後、Kane Valley RdからVoght Valley Rdへと分岐しさらにShea Lake Forest Service Roadへ進み、キャンプ地を探す。道は荒れてでこぼこだらけだが、特にテクニカルな場所があるわけではない。Shea Lake沿いにはRec siteがあるようだ。何台かのキャンパーたちが見える。さらに進むとトレイルは狭くなっていく。そしてしまいには、30頭くらいの大小様々な牛たちに周りを取り囲まれてしまったのだった。牛が怒って鳴いている。うーん、ここではさすがにキャンプはできないな。もう少し進んでみよう。クルマは牛の糞と泥と砂まみれになっている。すべて牛が最優先。

牛に囲まれて進めない

6:36 pm Tahla Lakeに到着。標高は1,027 m。素晴らしい湖岸を見下ろす場所を見つけた。最高のロケーションだ。誰もいない。さっそく夕飯にしよう。今晩のメニューは、牛肉でタコスを作る。具はパクチー、トマト、オニオン、そしてチェダーチーズ。最高にうまい。

ここから湖が一望できる

20:44 pm ルーフトップテントを広げる。本当に設営が簡単だ。だらだらビールを飲んで過ごしていると、空がオレンジ色へと変化していく。美しい日没だ。アカマツの樹皮が夕日に照らされている。あっという間に一日が終わろうとしている。Tahla Lakeはトップ5に入る最高のキャンプサイトの一つになった。泥と砂にまみれた犬をクルマの中に連れて行く。大人は歯を磨き、顔を洗いそして眠りにつく。

  • 移動時間: 6時間くらい?
  • 移動距離: 96 km
  • 総移動距離: 439 km


2023年8月8日火曜日

Camping trip to Merritt (その1)

夏の間、カナダBC州を冒険するキャンピングトリップを考えていた。BC州はとてつもなく広大だ。南北に直線で1,200 km、東西に1,050 kmもある。候補となっているエリアは、バンクーバーから北へ400 kmほどのLillooetさらに東の広大な辺境Cariboo、そして乾燥した大地の広がるOkanaganのエリア。最寄りの町まで高速で行き、その周辺に延々と広がるオフロードトレイルを走り、探索し、山や荒野でキャンプしながら見たこともない景色を見たい。

決められたキャンプ地にたどり着くことがだけ目的ではない。目的地のはっきりとした一般的な旅行とは少し違う。電波はもちろんガソリンや食料も手に入らない人里遠く離れた山にいくためには、とにかく念入りな準備が必要だ。山道専用の地図と衛星地図をにらめっこし、等高線からどれほどの傾斜があるエリアかを把握する。きれいな色の湖や滝にピンを立てておく。水や食料のほかに、燃料を計算したり、スペアタイヤ、ジャッキ、コンプレッサ、ー万が一クルマが壊れた場合に修理するための一通りの工具などキリがない。というか、クルマが壊れてもなんとかアテをつけて直せるだろうという自信が必要だ。山道を走り、キャンプ地を探すこと、未知のエリアを探索すること、作る料理を考えること、様々に起こる問題を解決しようとする行為の総体。これが病みつきになる。

旅の始まり

BC州の夏は山火事がひどく今年ものその例外ではなかった。そのため比較的マシだと思われたBC州東部の町MerritおよびKamloopsを目指し、ここから周辺の山々を転々と移動しようと考えた。Vancouver-Merritはおよそ300 kmなので休憩を入れて4時間ちょっとくらいだろうか。

金夜に出発し月曜に帰ってくる4日間の計画。朝、まずはいつものように大学に向かう。ジープのエンジンをかける。ウィーンと唸る音がする。なんだろう?前日まで問題がなかったのに。。。一気にテンションが下がる。いつもこうだ。誰かに行くなと言われている?

一度クルマを路肩に停めて、エンジンを見てみよう。少し吹かしてみると、回転数と完全に連動した音だとわかった。ベルトか?エンジン内部か?あるいはオルタネーターか。異音の場所は突き止められなかったが、ミーティングの時間が差し迫っていたので、様子を見つつとにかく大学まで行ってしまおう。すこし走るとバッテリーの警告灯がついたので、OBDポートにスキャナーを差し込み、ケータイでクルマの電圧をチェックしながら大学へ向けて残りを走る。11Vから10.9Vくらいだ。低い。オルタネーターがほぼ逝ってしまったんだろう。バッテリーが充電されていない。とにかく15kmほど離れた職場のある大学まで到着。

昼過ぎにLordco (パーツストア)に電話し、適合する型番のオルタネーターの在庫を確認。バスで店までピックアップし、大学の駐車場まで工具とオルタネーターを持っていき、さっそく新品に交換。20分くらいで完了。センサーを取り外すのに少し苦労。規定のトルクでボルトを締める。・・・エンジンをかけてみる。。。いつものエンジン音だ!電圧をすぐにチェック。13Vくらいだ。問題ないだろう。唸る音はやはりオルタネーターだった。もし解決しなければ次はバッテリーということになるが、おそらくまだ持つだろう。デンソーのオルタネーターは、20万キロ以上働いてくれた。これでキャンプに行けるぞ。自分の診断がバッチリ当たっていたこと、そしてまたクルマが動き出すことは嬉しい。

そして動き出す

7:40 pm 食料や衣類、工具を詰め込みようやく出発。VancouverからHighway 1でHopeへ向かう。道は空いている。100km/hくらいで巡航。

9:28 pm Merritとの中間地点Hopeに到着。マクドナルドでアイスコーヒーを買いしばし休憩。そしてHighway 5 (Coquihalla highway)に乗り換えMerrit方面へ。1年以上ぶりだ。Coquihalla hwyは北米の中でも最も危険なハイウェイと言われ、突然の猛吹雪ですごい数の事故が毎年の冬に起こる。トラックは横転し、一つのスリップが玉突き事故になる。Hopeから最初の30 kmくらいの区間で標高1,000 m以上登るため、非力なエンジンにはとてもきつい。ほとんど3速にシフトダウンして走る。燃費は最悪。V8エンジンが欲しくなる。こういう坂道は運転したくない。夏場、オーバーヒートしたクルマが路肩に止まっているのは風物詩。次は自分だとヒヤッとする。HopeからMerritまでの120 kmくらいの間に町らしい町はなく、給油や食料の調達などは必須。峠を何個も越えていく。

11:08 pm Merritに到着し給油。ひとまずHighway 5A (Princeton-Kamloops Hwy)から97C (Okanagan Connector)に入り40 kmほど東へ走りBluey Lakeへ向かう。ここはBC州のProvincial Parkの一部で、三連休の前日もあり結構人がいるようだ。トレイルは平凡で二駆で十分走れるレベル。Bluey Lakeの途中にテントを張れる場所を見つけ寝ることにする。

1:04 am 初めてルーフトップテントを試す夜。マットレスの寝心地が楽しみだなあ。20キロもある犬もクルマの屋根に取り付けたテントに頑張って運び込む。標高は1,068 m。15˚Cくらいか、少し肌寒い。ジープはよく走ってくれた。新品のオルタネーターも問題なし。きっと明日は素晴らしい色の湖を見ることができるだろう。テントの灯りを消す。気づくと眠りに落ちていた。

  • 移動時間: 5時間24分
  • 移動距離: 343 km 
  • 総移動距離: 343 km